<五十肩・四十肩とは>
一般に五十肩(=四十肩)は、40代以降に多く見られ、肩関節の痛みと運動制限をきたす疾患で、原因は1つではなく、肩関節を構成する柔部組織(腱・靭帯・滑液包など)の年齢による退行性変化(老化現象)を基盤として、これに過労や外傷(打撲・捻挫など)、アレルギー性や刺激による炎症が加わって発症すると考えられる1つの症候群です。
すなわち、肩関節周囲炎でいくつかの疾病が組み合わされた症候です。
<五十肩の原因疾患及び周辺疾患について>
五十肩という用語は元は俗語として発生しましたが、現在では中高年者の有痛性肩関節障害の病名として、日常的に用いられるようになりました。
従いまして、どこまでをその原因疾患とするか周辺疾患とするかは、難しいところだと思います。
当院のような鍼灸院・指圧、マッサージ治療院に来院される五十肩の症状を訴える患者さんを診ていますと、その周辺疾患も含めて、五十肩と捉えてよいのではと思います。
従いましてここでは、その周辺疾患も原因疾患の1つと捉えて考えてみたいと思います。
<五十肩の原因疾患及び周辺疾>
@上腕二頭筋長頭腱炎
肩関節の運動に伴い、上腕骨の前面にある結節間溝(みぞ)を上腕二頭筋長頭腱(腕の力こぶの筋肉の長い方の腱)が滑動します。その際こすれたり圧迫られたりして、腱や腱鞘に退行性の変性をきたす事により発症する、狭窄性の腱鞘炎の一種です。
上腕二頭筋長頭腱炎(短頭腱も炎症を起こし痛むことがあります。)
@肩峰下滑液包炎
肩峰下滑液包は肩関節の外側、三角筋の下方にあって肩関節の動きをスムーズに行うための潤滑油的な滑液をためておく袋状の組織です。
この滑液包に炎症を起こしたものがこの症候です。
一般には、他の原因疾患の二次性に起こるものが殆どです。肩峰下滑液包炎が発症しますと、夜間痛を発現させたり、進行すると腫脹や熱感などもみられるようになります。
三角筋下滑液包でも類似の症状が出て、四十肩、五十肩の原因となる事があります。
@(回旋筋)腱盤炎
肩甲骨から起る、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋は、肩関節の回旋
運動を司りますが、これらの筋群は集束して腱様組織となって上腕骨上端
に付着しています。これらの腱は、一体化しているため臨床的には、(回
旋筋)腱盤と呼ばれています。腱盤は、周囲組織に周囲の組織に圧迫され
易い為、変性や腱炎を発生することがあります。
ただ、この症候は、若い人でも、スポーツや無理な作業で発症する事もあ
りますので四十肩、五十肩として扱わない場合もあります。
@(回旋筋)腱盤断裂
上記の腱盤炎のさらに重い状態のものです。
四十肩、五十肩の周辺疾患として考えるものは、非外傷性の
もので、部分断裂、損傷程度のものがほとんどですが、ひど
く断裂していると、肩関節の外転(横に腕をあげる動作)が
自分の力で出来ない場合があります。
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